Outlook Expressというのは、いわばはるか昔のソフトウェアで、来春Windows XPのサポート終了にともない姿を消すだろうソフトだ。その後継としてVistaでWindows Mailが、そして現在Windows Live メールがある。
このOutlook Expressは、動作の不安定さとか、文字コードがうまく変換できない問題などがあって、私自身は好きなソフトではなかった。Outlook Expressは内部的にJISコードでメールを持っており、OfficeのOutlookは変換済みのShift-JISコードでデータを持っていた。動作も安定していたし、複数のメールを一つの受信箱に受けられるOutlookのほうが私は好きだったし、今も結局Outlookを使っている。
しかし、先ごろあるユーザ様のメールソフトの変更をする機会があり、改めてOutlook Expressの設計思想の素晴らしさというものを感じた。遅いけどね。
そこのユーザ様は、大量のメールをメールボックスに抱え込んでおり、また用途に応じて作られた複数のアカウントを複数のユーザがそれぞれ受信していた。そのメールソフトやサーバを変えるにあたって、それぞれのパソコンにアカウントやメールデータを移す必要が出来た。
そして、そこのユーザ様が使っておられたメールソフトと新しく移そうとしているメールソフトではメールの移行ができないのである。メールデータそのものの移行も難しい。そして、メールアカウントは、それぞれのソフトの中でも移すことがとても難しい。そんなことはユーザに任せればいいようなものだが、誰も彼もがパソコンのリテラシーの高い人、詳しい人とは限らない。
そうすると、複数のパソコンにそれぞれ複数のアカウントを設定し、過去のデータを移行していくという作業が必要になる。多くのソフトで、これはとても面倒くさい作業になる。こんなに苦労してメールを設定しないといけないのか?
ところが、Outlook Expressはそれが割と簡単にできる。
まず、メールをドラッグアンドドロップでファイルに保存したり、ファイルから取り込んだりできる。ファイルはemlファイルという形式で、メールの通信上のデータととても近い形のまま保存できる。
次にアカウントのエクスポートやインポートが簡単にできる。この場合も拡張子がiafという単純なファイルに保存して、他のパソコンに簡単に設定できる。データの保存場所がわかれば丸ごと移すことも可能だ。
UNIX系のサーバプログラムでは、各種の設定が簡単なテキストファイルに保存されており、テキストを書き換えてプログラムを再起動すればその設定が反映されるから、多くのパソコンに同じ設定をすることは割と簡単だ。しかし、メールソフトでそんな簡単なことができるものがない。おかしい気がしますよ。しかし、Outlook Expressは最新の使い勝手でそれを可能にしようとした。これ、偉いですよね。