毎年1%確実に人口が減少する。危機的な状況であることは間違いないと思う。しかし、私はずっと雲南に住んでいたわけじゃないし、ずっと暮らしていて、あるいは政治や行政で尽力されている方の中には、今更何を言っているのかというお叱りもあると思う。
で、本当に雲南市がひどい状況なのか、他の自治体と比較してみる必要があるだろう。
たとえば、劇的に素晴らしい成果を上げた、といわれる自治体はどうか。
島根県隠岐郡海士町は、島前高校魅力化プロジェクトなどを通じて沢山の転入者を受け入れたことで、さまざまなメディアに取り上げられている。
この転入者数はある報告によると2004年4月から2009年12月までに144世帯、234人のiターン受け入れ、となっている。しかし、ではこの期間海士町の人口は劇的に増えたのだろうか?いやいや、実は161人の減少だった。海士町の人口はこの時点で2374人で、6%ほど減少をしているのは間違いなのである。
海士町の場合も昭和30年代には6000人以上の人口がいたらしい。現実には離島である隠岐では、本土の市町村より条件が厳しいのだろう。
ただ、雲南市と違うと考えられるのは、転出も出生もまっすぐ減っているわけではない、という点だ。なかなか詳しい資料がパパッとウェブから見つけられない・まとめられないのだけれど、
http://kokubo.seesaa.net/article/236196798.html
このような報告があって、中ほどの人口動態のグラフを見ると、出生数もそもそも計算上の母体が少ないわけではあるが、増えたり減ったりしているし、転入が転出を上回っている年もある。
先日NHKさんが取り上げた、福島県の矢追町はどうだろう。
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3492_6.html
ここの人口推移は国勢調査によるもので
2010年 6,740人
2005年 6,740人
2000年 7,062人
1995年 7,409人
となっていて、2005年から2010年までで人口の減少が止まった。これは島根県の状況などから考えても大変なことで、生まれてくる赤ちゃんなりやってくる人が、高齢で亡くなる方とトントンになったということだ。
海士町も矢追町も、雲南市の行政規模より小さいのだけれど、しかし、合併前の各市町村の人口と比べてみると、それほど違わない。
このように人口の減少に何らかの歯止めをかけた自治体というのは
- 出生祝いのような子供への手当てを手厚く行っている。若い世代への住民サービスが充実している。
- 人を呼び込む仕組みを考えている。
- 箱もの行政をしておらず、職員給与カットなど住民サービスに当てる財源の確保に苦慮している。
という特徴がある。