京都にいた時には、松ケ崎のあたりに前から周辺に農地を持っている人が住んでいて、地価の高騰とともに羽振りが良くなったのか、結構大きくて立派な住宅が立ち並んでいる。中には、ひときわ大きな家だというので、テニスコートがあるという住宅が評判だったことがあった。
この辺にも立派な住宅が立ち並ぶエリアがいくつかある。
しかし、そうした場所の多くが、新しく道路が拡張されるなどの事情で、もともとあった場所に隣接して家を建て直したものだ。新しい道路を作るには、ここに家があると困ります、ついては少し敷地をずらして家を建て直してください、ということで行政から補助が出る。それで立て替えたおうちだ。この行政から出る補助は、必ずその用途のために用いなければならない。カネだけもらってほかのことに使うということはできないわけだ。
こういう住宅は「立ち退き御殿」などと呼ばれる。
だけど、町を歩いていて、一角が立派だと思ったら、そういうエリアだったというのは、何ともさびしい話ですね。立ち退いて立派になったから、いっちょ、新しいことでもおっぱじめようという風になってほしいような。